不倫(不貞行為)の慰謝料の相場|310件の裁判例から算出

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不倫(不貞行為)の慰謝料の相場|310件の裁判例から算出
不倫(不貞行為)による慰謝料には、法律で決められた計算方法はありません。そこでこの記事では、ご相談者様が相手方へ提示する金額の参考となるよう、裁判における慰謝料の相場をご紹介します。

相場

弊所が調査した310件の裁判例における不倫慰謝料の相場(平均額)は158万円。

金額別の件数をみると、100万円/150万円/200万円のいずれかの支払いを命じられた裁判例が特に多く、全体の約80%は100~200万円の範囲内に収まることから、広い意味では100~200万円が相場だといえるでしょう。

※弊所へのご依頼またはその他の手段によって合意できる慰謝料額を示すものではありません。また、弊所が調査していない裁判例についてはこの相場に反映されません。

【金額別】裁判例の件数_sp

もっとも、上述した相場は弊所が調査した裁判例全てから算出したもの…つまりご相談者様の状況に似ていない裁判例も含んだ相場です。

車に例えると、メーカー/車種/燃費性能などの条件で絞り込まず、全ての車の価格を平均したようなものです。欲しい車の価格帯とはかけ離れているかもしれません。

そこで、ここからは、婚姻期間/不倫期間/発覚後の婚姻関係/特徴の4つの観点から慰謝料の相場をご紹介します。

不倫が始まるまでの婚姻期間

婚姻期間 相場(平均額) 最低額~最高額
5年未満 151 10~300
5~10年 160 30~300
10~20年 166 30~350
20年以上 154 30~400

単位:万円

婚姻期間が長いことが増額要素(または短いことが減額要素)として扱われた裁判例があり、その傾向は相場に表れているといえるでしょう。

ただし20年以上に関しては5~10年や10~20年より低い金額となりました。これは「20年以上=減額」ということではなく、他の減額要素が影響しているものと考えられます。

不倫期間

不倫期間 相場(平均額) 最低額~最高額
1年未満 148 10~300
1~3年 155 50~300
3年以上 176 90~400

単位:万円

不倫期間も長ければ増額(または短ければ減額)の傾向が見受けられました。

とはいえ、1年未満で300万円が認定された裁判例がある一方、3年以上で90万円にとどまった裁判例もあることを踏まえると、不倫期間も数ある算定要素の一つに過ぎず、金額は他の要素に大きく左右されていると推察できます。

不倫発覚後の婚姻関係

不倫発覚後の婚姻関係 相場(平均額) 最低額~最高額
離婚 162 50~300
別居 164 30~350
離婚/別居以外 148 10~400

単位:万円

離婚と別居の相場がほぼ同じであることは意外に感じられるのではないでしょうか。別居した場合より離婚した場合の方が高額な慰謝料が認定されそうですが、実際はそうとは限らないことが分かります。

これには、不倫が始まる前の婚姻関係は良かったか悪かったか、不倫の他に離婚/別居を招いた要因があるかどうかなど、様々な事情が影響しているものと考えられます。

特徴

特徴 相場(平均額) 最低額~最高額
枕営業 95 30~150
肉体関係は1回 119 60~180
会う頻度が低い 109 30~200
不倫によって妊娠 188 70~300
不倫相手と同居 187 50~400
自宅に連れ込んだ 177 88~250
夫婦に未成年・未成熟の子あり 165 50~350
子どもと不倫相手に面識がある 176 100~350
既婚者だと知った後も不倫関係を継続 133 60~300
発覚後も不倫関係を継続 178 30~400
不倫相手が嘘をついている 173 100~250

単位:万円

相場に明確な差が生まれたのはこの特徴です。不倫の結果が重大である場合や、不倫の実情/不倫相手の態度が悪質な場合などは高額となる傾向が見て取れます。

もっとも、特徴1つだけをもって慰謝料が決定づけられるわけではないことは、これまでに述べてきた通りです。

相場検索ツール

「自分の場合、相場はいくら?」とお考えの方は、以下の相場検索ツールをご活用ください。

ご紹介した4つの観点から裁判例を絞り込むことができますので、ご相談者様の状況に近い裁判例が見つかるかもしれません。

この記事でお伝えしたいこと

4つの相場をご紹介するとともに「慰謝料は様々な要素によって増減すること」を繰り返し述べてきました。「結局、自分の場合はいくらが妥当なの?」と思われたことかと思います。

これについて、この記事でお伝えしたいことは次の2点です。

相場に合わせる必要はありません

ご紹介した相場は裁判における慰謝料の相場です。当事者間の話し合いでは、裁判における相場に沿った金額を提示する必要はありません。

合意する前に弁護士へご相談ください

「相場通りだからこれで良いか」と合意してしまう前に、一度弁護士にご相談ください。

ご相談者様のケースでは、相場とは大きく異なる金額を期待できるかもしれません。事情を詳しくお聞かせいただければ、今よりも良い金額で解決できる可能性を探ることができます。

相談料は初回無料です。電話またはメールのどちらかご都合の良い方法で、お気軽にご連絡ください。

この記事の著者

弁護士法人えん

代表弁護士吉村歩

大阪弁護士会所属 登録番号55054

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