既婚者と知らずに交際|不倫慰謝料の支払い義務と相場

不倫の慰謝料で損をしない
ために、まずはご相談を
支払い義務はあるのか?
交際相手が既婚者であることを知らなかった場合、慰謝料を支払う義務はあるのか?
結論、客観的に「既婚者だと気づく余地がなかった」といえる場合、支払い義務はありません。反対に「既婚者だと気づく余地があった」といえる場合は支払い義務を負う可能性があります。
法的には
法的には「知らなかった」だけでは足りません。客観的に見て「既婚者だと気づく余地がなかった」といえる場合に、支払い義務を免れることができます。
具体的には、知り合った経緯や交際の実態などを示す証拠を挙げるとともに、「こんな事情があるから既婚者だと知らなかったし、気づく余地もなかった」と説明する必要があるということです。
知っていた、知らなかったという内心の事情は他人にはわかりません。もし、既婚者であると知っていた、またはそうではないかと疑っていたにもかかわらず、請求を受けた際に「知りませんでした」で支払いを拒否できるとすると、不貞の慰謝料を支払う必要がある場面とは相当限定されてしまいます。そこで法律は、単に「知らなかった」だけではなくて「知らないことに正当な理由がある」…つまり「知らなくても仕方がないよね」といえる事情を求めています。このことを法的には「無過失」といいます。
「既婚者だと気づく余地がなかった」の基準は?
既婚者だと気づく余地の有無に明確な基準はありませんが、次のような事情が積み重なることで、気づく余地がなかったという判断に近づくと考えられます。
- 独身向けのマッチングアプリで知り合った
- 「結婚していない」と聞いていた
- 交際期間が短い
- 休日や夜間に自由に会うことができた
- 交際相手の自宅に配偶者や子どもがいると思わせる物は無かった
- 結婚の準備を進めていた
- 交際相手と同棲していた
これらを示す証拠となるものを準備しておきましょう。SNSやメールのやり取り、マッチングアプリのスクリーンショット、写真や動画、共通の知人の証言、結婚式場の見学予約に関するメール…など様々なものが証拠となり得ます。
当事者間の話し合いでは
当事者間の話し合いでは法的な考え方に則る必要はないため、証拠を挙げず「知らなかった」と反論して支払いを拒むことも可能です。それによって相手配偶者が請求を諦めるのであれば、支払いを免れることができるでしょう。
いっぽう、相手配偶者が諦めない場合、裁判で慰謝料を請求される可能性も考えられます。裁判では先述した通り、証拠を提出して既婚者だと知らなかったこと、気づく余地がなかったことを立証する必要があります。
ここまでをまとめると次のようになります。
- 「知らなかった」だけでは足りない
- 客観的に「既婚者だと気づく余地がなかった」といえる場合は支払い義務を負わない
- 「知らなかった」だけで足りる可能性はある
- 実際に支払いを免れられるかどうかは相手配偶者の対応や交渉次第
その他、支払い義務を負わない可能性のある条件
「既婚者だと気づく余地があった」といえる場合でも、以下の条件に該当する場合は、支払い義務を負わない可能性があります。
肉体関係がない
肉体関係(ただし、性交渉のみを意味しません。これに類似する行為があれば、ここでいう「肉体関係」にあたると評価される可能性があります。)がなければ、原則として慰謝料の支払い義務は発生しません。
もっとも、慰謝料の発生要因となる行為は肉体関係のみに限られているわけではないため、その行為がされた背景、場所、具体的な事情のもとにおいては、慰謝料の支払い義務が発生する可能性があります。
相手の夫婦関係が破綻していた
不倫以前に相手の夫婦関係が破綻していたのであれば、“不倫によって侵害される夫婦生活の平和は既に存在しなかった”という考え方から、特別な事情がない限り慰謝料の支払い義務を負いません。ただし、破綻していたと認められるためのハードルは高く設定されています。
そもそも「破綻」という言葉自体、日常的に使われることもありますが、法的な意味での「破綻」は、より一層狭い意味で用いられています。ざっくりといえば、夫婦仲が冷えている/悪い、というだけでは足りず、夫婦関係が実態を失っている、つまり形だけ籍が入っているような状態をいうものとされています。
そのため、交際相手が既婚者だと知った後、仮に交際相手から「夫婦仲は悪かった」「離婚する予定だった」旨を聞いたとしても、それだけでは足りず、およそ誰が見ても「破綻していた」というほどの証拠が必要です。
時効を迎えている
相手配偶者が「不貞行為があったこと」と「不倫相手が誰か」を知ったときから3年、または、不貞行為の日から20年を経過している場合、相手配偶者の慰謝料請求権は消滅時効を迎えているため、慰謝料の支払い義務はありません。
慰謝料の相場
仮に慰謝料の支払い義務を負うとして、金額はいくらなのか?
このような疑問をお持ちの方に向けて慰謝料の相場をご紹介します。
弊所が調査した310件の裁判例における不倫慰謝料の相場(平均額)は158万円。
金額別の件数をみると、100万円/150万円/200万円のいずれかの支払いを命じられた裁判例が特に多く、全体の約80%は100~200万円の範囲内に収まることから、広い意味では100~200万円が相場だといえるでしょう。

※弊所へのご依頼またはその他の手段によって合意できる慰謝料額を示すものではありません。また、弊所が調査していない裁判例についてはこの相場・件数に反映されません。
相場検索ツール
以下の相場検索ツールでは、細かく条件を設定して相場を検索することができます。ご相談者様の状況に近い裁判例が見つかるかもしれませんのでご活用ください。
弁護士にご相談ください
慰謝料を請求された場合、ぜひ一度弁護士にご相談ください。
- 減額できるか
- 既婚者だと気づく余地がなかったことを示すために、何を証拠として挙げるべきか
- 交際相手に慰謝料を請求できるか
これらを一緒に考えアドバイスすることができます。ご相談は無料です。電話またはメールのどちらかご都合の良い方法で、お気軽にご連絡ください。