不倫がバレて「誠意を見せろ」と言われた…誠意とは?慰謝料は?

公開: 更新:
不倫がバレて「誠意を見せろ」と言われた…誠意とは?慰謝料は?
不倫がバレた後、相手配偶者から誠意を求められた場合の対応や問題点についてお伝えします。「慰謝料の金額は任せます。誠意を見せてください」「誠意ある解決条件を提案してください」などと言われた方はご参考ください。

結論

相手配偶者から「誠意を見せろ」と言われた場合、「誠意ある金額っていくら?」「誠意を示すためには何をすれば…?」とお考えになるかと思われます。

こちらについて、この記事でお伝えしたいことは次の2点です。

  • 「誠意を見せろ」と言われた場合、精一杯の対応を提案すれば良い
  • 誠意という言葉には、法的に義務のない対応までも求められているリスクがある

その理由をご紹介します。

理由

誠意とは?

誠意は次のように定義されています(出典:goo辞書)。

私利・私欲を離れて、正直に熱心に事にあたる心。まごころ。

ご相談者様の状況における「誠意を見せる」とは、『やるべきだと思うことを精一杯やること』と考えて問題ないでしょう。

誠意ある金額や行動は、人それぞれの常識や価値観によって大きく異なるため正解がありません。定義に照らすと、やるべきだと思うことを精一杯やれば、それは誠意を見せたことになるのです。

やるべきことと法的義務

そもそも何を“やるべき”なのか?

ご存じの通り、第一に慰謝料の支払いです。不倫を巡るトラブルはお金で解決を図るのが法的な取り扱いとなっていて、これは一般的にも浸透しているところでしょう。

その他、誠意の表れとして考えられる行動は数多くあります。ただし、それらは通常、法律に強制されません。法的義務のあるものは原則として慰謝料の支払いに限られています。

行動 法的義務
慰謝料の支払い あり
(※1)(※2)
対面での謝罪 なし
謝罪文・反省文の作成 なし
連絡先の削除 なし
二度と関わらない旨の約束 なし
交際の経緯などに関する説明 なし
借金して慰謝料を用意すること なし
退職 なし
引っ越し なし

(※1) 慰謝料の支払い義務を負わない場合もあります。
(※2) 慰謝料の他に調査費用や治療費などの支払い義務を負う場合があります。

もちろん、法的義務のないことを自発的に行なうことに問題はありません。それによって相手配偶者に誠意を評価してもらえる可能性はあるでしょう。むしろ当然に期待されている行動もあると思われます。

ここまでをまとめると、誠意を見せるためには、

  • やるべきこと(慰謝料の支払いに加えて、法的義務のないこともやるか)
  • 精一杯(いくら支払うか、どの程度やるか)

を検討する必要があるということです。

参考

慰謝料額を検討するにあたっては慰謝料の相場をご参考ください。不倫(不貞行為)の慰謝料の相場

慰謝料の支払いには法的義務があるとお伝えしましたが、特定の条件に該当する場合は慰謝料の支払い義務を負わない可能性があります。条件についてはこちらの記事をご覧ください。慰謝料の支払い義務が発生する要件

問題点

問題は、精一杯の対応を提案したところで、相手配偶者が納得してくれるとは限らないことです。

例えば、生活していくために必要な最低限のお金を残して、現金化できそうな物を売って、精一杯の慰謝料を用意したとしましょう。これをもって納得してもらえる可能性がある一方、「誠意がない」と突き返される可能性も否定できません。

極端な例を挙げると、家族に知られることになろうと預貯金を全て引き出し、借金をして、車を売って…と物理的に可能な限りの慰謝料を期待されているかもしれません。土下座して謝罪をすること、退職や引っ越しをすることまで求められているかもしれません。

誠意を見せたつもりなのに「誠意がない」と言われた場合、それは誠意の定義が異なるということです。ご相談者様が応じることのできない、過大と言わざるを得ない水準まで条件を引き上げられるかもしれません。人によって解釈の異なる誠意という言葉を用いて話し合うこと自体に、そのようなリスクが隠れているのです。

よって、誠意という言葉には、過大な要求が含まれるというリスクがあるのです。

では、どうすべきか?

誠意を見せるのであれば、『ご相談者様がやるべきだと思うことの精一杯』を提案しましょう。提案を受け入れてもらえなかった場合、それは誠意の定義が異なることを意味します。次の動きは以下の3つに大別されるでしょう。

  1. 要求に応じる
  2. 相手配偶者の言う誠意に応えたい場合や、相手配偶者を怒らせたくない場合、早期解決を優先する場合などは、要求に応じるほかありません。

  3. 妥協点を探す
  4. 話し合いで妥協点を探すことも手段の一つです。ただし相手配偶者にも妥協を求めること自体が誠意のない行動だと受け取られる可能性があるため、双方が納得できる解決内容はあまり見込めないものと思われます。

  5. 法的に争う
  6. 法的義務のある慰謝料の支払いに関して裁判所の判断を仰ぐものです。金額は相場の範囲内に落ち着く可能性が高いでしょう。法的義務のない行動をするよう命じられることはありません。

そもそもご相談者様(請求される側)が自発的に提案する必要はなく、相手配偶者に具体的に請求するよう求めることも可能です。請求された内容がスタートラインになるため、条件が引き上げられるリスクを低減できる点がメリットです。
ただし相手配偶者の言う「誠意を見せろ」に反する対応だと思われるため、関係性を悪化させない伝え方を検討なさるべきでしょう(例:私の誠意であなたを不快にさせてしまうといけないので、希望を教えてください)。
とはいえ、請求された内容に応じられなければ、結局のところ「誠意がない」と受け取られる可能性が高く、そうすると上記②③の対応を迫られることとなります。

法的に義務のない要求に応じたくない場合、ご相談ください

誠意という言葉には、過大な要求が含まれるリスクがある…ということをお伝えしました。必ずしもそのような要求をされるわけではないものの、少なくともリスクはあるといえるでしょう。

弁護士は、法的に妥当な解決内容を目指すことによってお力添えができます。法的に義務のない要求に応じたくない場合、ぜひご相談ください。

幣事務所のご紹介

法的に妥当な解決内容を目指すにあたり、裁判をすることが選択肢の一つとなります。裁判を弁護士に任せるなら、弁護士の追加費用について考慮する必要があるでしょう。

追加費用とは着手金や日当と呼ばれるもので、弁護士の一般的な費用体系では、裁判をする場合にその結果に関わらず発生する費用として設けられています。つまり考慮すべきは、支出の増加(追加費用)と支出の減少(裁判で減額を見込める慰謝料)を天秤にかけて、金銭的にメリットがあるかどうか、という点です。

この点、幣事務所では原則として追加費用を頂戴していません。つまり支出の増加と減少を天秤にかけるまでもなく、裁判を選択できるということです。「法的に義務のない要求に応じたくない」「慰謝料をできるだけ減額したい」というご希望に沿いやすい費用体系となっています。

※交通費や郵券、印紙などの諸経費は実費を頂戴します
※遠方への出張については日当を頂戴する可能性があります

弊所の弁護士費用について詳しくは以下のページをご覧ください。

慰謝料減額の弁護士費用

この記事の著者

弁護士法人えん

代表弁護士吉村歩

大阪弁護士会所属 登録番号55054

関連する記事